建築士制度改革は誰のため?
神奈川県相模原市 2006年7月 文責: (有)A tempo
第8回社会資本整備審議会建築分科会基本制度部会において建築士制度改革が議論されています。関連記事
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などの事件報道を見て、多くの一般の方々は、
●建築に必要となる技術が多岐に渉る為、所謂一級建築士だけでは、安全で期待に応え得る建築は造れない事
●今までの一級建築士の資格取得が容易すぎた事・・・不自然に数が多い・・・一級建築士だから安全で期待に応え得る建築を造るとは限らない事
を、改めて感じ理解し始めていると思います。
建築界の現場では、設計と施工、建築・構造・設備それぞれの専門性が異なる事は、語る必要もない事として受け止められています。制度が付いていってないのです。確認申請図書には3者が連帯責任で記名すればよいのです。
一人では設計も施工もそれぞれ遂行ませんから、コーディネーターが必要となります。クリーンルーム等では設備が、工場・プラント等では構造がその役割を果たします。コーディネーターの下では建築・構造・設備が対等の立場で責任を果たします。
コーディネーターに法的資格を設けるとすれば、3分野取得者に受験資格を与えるのが本来の姿だと考えます。専門性が異なってもコラボレートしていれば、理解できています。
デザイナーに資格は不要です。コーディネーターへ依頼してイメージを実現できます。
以上の実情を踏まえて、責任と資格が合致する方向で改正法案が提出される事を望みます。
医者の世界とは少し異なります。
医者は専門分野の病気を治せますが、
優秀な一級建築士が何人集まっても、建築は設計できない
ところに問題があります。建築確認申請図において夫々が作成している図面・計算書の枚数が責任の比率を程よく実証しています。
一級と言う表記が世間に誤解を与えています。建築士の制度改革は、一級建築士のみでは無理だと思います。
多すぎる一級建築士の既得権益(単独責任)を守るだけでは事態が改善されません。
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建築士制度改正案へのパブリックコメント
勝手な事を述べましたが、歴史を踏まえつつ最適解に落とすには大変なご苦労があると思います。明日の建築界のため関係各位の御健闘(検討)を祈りつつ、議論の行方を見守りたいと思います。
(a-tempo) 2006年7月31日 18:18 | 個別ページ | トラックバック(1)