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長期修繕計画作成上の注意点

神奈川県相模原市 2008年12月 計算・作成: (有)A tempo

平成20年6月に国交省(国土交通省)により「長期修繕計画標準様式・作成ガイドライン」が示されました。
これに倣って計算ソフトを改修しましたが、作成上の注意点について補足します。

期間全体で収支計算するところに落とし穴があります。

計画期間は、25年か30年としますが、大規模修繕工事等で既存計画を見直し作成する場合に注意が必要となります。
期間全体で収支計算すると、一時金を徴収しない(または借入しない)つもりで検討しても、期間最終年に大規模修繕が来ない限り、一時期借入(または一時金徴収)する必要があるシミュレーション結果となってしまいます。(グラフの繰越金がマイナスゾーン)

20年程度の将来、繰越金がマイナスになる提案は、案の一つとして一向に構いません。その頃になって見直せばよいわけですから。
それが正解・一押し案とさえ思います。
しかし、一時金を一切徴収しない(借入金も無し)提案も最低一案必要となります。

(様式第5号)修繕積立金の額の設定
様式第5号B左 表1
 表2 様式第5号B右
データーは、ダミーです。
表1は計算期間全体で収支を計算しています。(標準様式?と思いがち) それに比べて表2は、経年36・計算期間中25年目で収支を計算しています。 この事により修繕積立金額の額(O=K/N:(m2当たり月当たり))は、154.0円から176.8円に増額となりました。

計算期間全体で収支計算する事は、標準ではない事に注意すべきです。

様式第4-2号 長期修繕計画案 シミュレーショングラフ
長期修繕計画グラフ2
凡例3
凡例
凡例の「P指定」は、表2の数値(経年36・計算期間中25年目での収支)を基にグラフ化したものです。

計算期間全体での収支検討では、計画期間終了の直前・直後の大規模修繕工事に対応できていない事を示しています。
期間全体でのみ収支計算すればよいケースの方が稀です。

例示しているのは、判り易くする為に初期積立金残金を多目に設定していますが、大方の場合途中の大規模修繕工事のポイントで収支計算しなくてはなりません。
その計算時期(P指定)は、主に初期積立金残金の額と途中の大規模修繕工事の額により左右されます。

計画期間の終期でのみ帳尻が合えば良い訳ではありませんので、当然の事です。
均等積立方式で、期間全体でのみの収支計算を前提とするならば、計画期間を25年間とするより、25年を越える大規模修繕工事までとするほうが妥当かもしれません。

長期修繕計画案 シミュレーショングラフ 年度別拡大版
長期修繕計画グラフ年度別拡大版
縦軸の縮尺はこのくらいでないと判別しにくいですね。 総計を外したグラフは、工事項目ごとの計画が見えてきます。


■ 平成20年度マンション総合調査結果について

平成21年4月10日 国土交通省

 
(1)長期修繕計画の作成

長計H20.JPG
昭和62年度から平成20年度の変化をみると、長期修繕計画を作成している管理組合の割合は増加傾向にあり、平成20年度は89.0%のマンションで長期修繕計画を作成している。   (2)月/戸当たり修繕積立金の額   
修繕積立金H20.JPG
平成11年度から平成20年度の変化をみると、月/戸当たりの修繕積立金の額、駐車場使用料等からの充当額を含む修繕積立金の総額ともに増加している。平成20年度の月/戸当たりの修繕積立金の額の平均は10,898円、駐車場使用料等からの充当額を含む修繕積立金の総額の平均は11,877円となっている。
関連記事:国交省ガイドラインによる長期修繕計画作成        マンションの長期修繕計画        マンションの長期修繕計画2

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