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収入印紙は一契約に一枚(割勘)
印紙税法 第3条2項に、
一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には、当該二以上の者は、その作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。
とあります。
つまり、課税文書となる請負契約書等は、二以上作成する必要は無く、印紙税は、ワリカンが原則です。原本はどちらかの当事者(他の手続きに原本が必要となる者)が持ち、他の者は、コピーを所持することになります。コピーに両者が署名・押印すると、契約書としての効力を持ちますから、収入印紙を貼る必要があります。
しかしながら、契約書を、各契約当事者が1通ずつ所持したくなる場合があります。
コピーを持つだけでは安心できない人や、そういう上司を持つ部下が、これに当たります。
これは「契約の当事者がそれぞれ相手方当事者等に対して成立した契約の内容を主張・証明するため」という主旨です。
契約は口頭でも成立しますから、契約行為に課税は出来ません。コピーを持てば十分に契約を証明できると思います。
2通作成には以下のメリットがあります。(争いが起きた場合)
1.改ざん防止 (改ざんの証明が容易)
2.一方的な契約でないことの主張 (裁判時に、契約内容が相手に不利なためにそれを察知されないよう、自分しか保管していないと疑われる。)
契約書を各自が持ち合うことは、それだけで契約の公平性、開示性を示すことになります。
コピー(写し)は「証拠能力に欠ける」とした判例もその昔あるようです。
印紙税は、契約の成立を証明する目的で作成された文書を課税対象とするものですから、一つの契約について二通以上の文書が作成された場合(税務署は一契約に対して複数の契約書発行することを妨害しない)、その全部の文書がそれぞれ契約の成立を証明する目的で作成されたものであれば、全て印紙税の課税対象となります。・・・と言わざるを得ない。
マンション管理士の顧問契約書は、たいていの場合、印紙税額は200円ですので、二通作成しても良いのですが、建設工事等の請負契約は、契約金額が大きくなると、結構大きなな税額となります。
記載された契約金額が
印紙税額
1千万円を超え5千万円以下 1万5千円
5千万円を超え1億円以下 4万5千円
1億円を超え5億円以下 8万円
5億円を超え10億円以下 18万円
10億円を超え50億円以下 36万円
50億円を超えるもの 54万円
割り印(消印)を押した収入印紙が写っている契約書のコピーがあれば、納税を証明することが出来ます。
無駄で余計な契約書は、作らないようにしたいものです。唯一無二の契約書にこそ価値があり、齟齬が発生しません。
よく、契約書の最後に、
「以上、本契約の成立を証すため、本書2通を作成し、甲乙記名捺印のうえ各1通を保有する。」
と、契約書の雛形につられてついつい書いてしまいますが、誰かの陰謀ですから止めましょう。
ところで、契約書の作成が、外国であった場合、印紙を貼る必要はありませんので、ご注意下さい。
さらに、平成13年4月より施行された「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」により、書面の交付や書面による手続きを義務付けている法律を改正し、電子メールなどの電子的手段も認めています。この場合も収入印紙は必要ありません。
今後は、収入印紙のみならず紙の契約書は、消えて行く運命にあるかも知れません。
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コメント(2)
PT (2010年12月 2日 20:16)
アテンポ 中村さま、はじめまして、PTと申します。
ひとつ質問をお願いします。
当方の住むマンションにおいて、大規模修繕の施工業者といよいよ契約する寸前まできました。
そこで、まさに、この請負契約と印紙の問題に直面しております。(ネットで検索して、この記事にあたりました)
建設業法第十九条では、「建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。」となっております。
ですので、アテンポ 中村さまが記載している『請負契約書等は、二以上作成する必要は無く』
『原本はどちらかの当事者(他の手続きに原本が必要となる者)が持ち、他の者は、コピーを所持』というのは、建設業法に違反していると思えるのですが、いかがでしょうか?
アテンポ中村 (2010年12月 3日 10:49)
ご意見ごもっともだと思います。
裁判所の判断をいただきたいところです。