新築住宅とは
いきなりですが、宅地建物取引主任者試験の過去問題です。 平成19年・問47
「宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。」 正答率 72.9% 1.新築分譲マンションの広告に住宅ローンについて記載する場合、返済例を表示すれば、当該住宅ローンを扱っている金融機関の名称や融資限度額等について表示する必要はない。2.マンションの広告を行う場合、当該マンションが建築後2年経過していたとしても、居住の用に供されたことがなければ「新築分譲マンション」と表示することができる。
3.1枚の新聞折込みチラシに多数の新築分譲住宅の広告を掲載する場合には、物件ごとの表示スペースが限られてしまうため、各物件の所在地を表示すれば、交通の利便に関する表示は省略することができる。
4.残戸数が1戸の新築分譲住宅の広告を行う場合、建物の面積は延べ面積を表示し、これに車庫の面積を含むときには、車庫の面積を含む旨及びその面積を表示する必要がある。
正解は、4番でした。当然2番は×です。
新築とは,<建築後1年未満であって,居住の用に供されたことがないもの>です(不動産の表示に関する公正競争規約18条1号)。
2番の場合,『建築後2年経過している』ので,新築という用語は表示できません。
もちろん、新築と称して販売・契約することは許されません。
その他、
「品確法で言う新築住宅とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事完了の日から起算して1年を経過したものを除く)をいう。」
とされていますので、ほぼ同じ定義と言えます。
従いまして、住宅業界で、この定義以外で新築住宅を定義するもの・法律は無いと思いますが、いかがでしょうか。
同規約18条では、「特定用語の使用基準」が示されており、6号では、
「建物の建築工事の完了」: 建物をその用途に従い直ちに使用することができる状態に至ったことをいう。
とされています。
一般的には、建築確認検査済み証の交付があると使用許可されますので、この交付日と解されているようです。
新築住宅と呼べるうちに販売・引渡し(厳密には契約)をしなくてはならない住宅供給会社にとっては、非常に重要で重たい意味を持つものと思われます。新築住宅の状態でストックすることは大きなリスクを伴います。
品確法を基にした、住宅瑕疵担保履行法で対象とするのは、当然この新築住宅です。
新築住宅の売買は対象となりますが、交換は対象となりません。すなわち、マンションの建替えや、再開発事業における、保留床は対象となりますが、権利床は対象となりません。2号保険(任意)での対応は可能です。ここのところは、実態に合わせて改正される予感がします。
住宅販売会社は、売れ残ったマンション等を、供託金を付す事により新築住宅として販売したい気持ちは判りますが、1年を経過したものは「新築住宅」と称せないばかりか、法務局は、供託金を受け取ってくれません。
年2回の基準日での、過去半年間での引渡し物件の届出に記載できませんから。
住宅瑕疵担保責任保険法人も、リスクが高いためか申し込みを受け付けないようです。
10月1日時点で筑後1年未満で未入居であれば、保険料が割高ですが、対応する保険商品が発売されています。(2010年3月末までの限定販売)
ある意味、住宅瑕疵担保履行法は、新築住宅が新築住宅と呼べるうちに売りなさい、と言う事を今まで以上に促す法律です。
契約時点で新築住宅であって、引渡しが10月1日以降であれば、履行法の対象となります。
住宅紛争処理に必要な運営費用を、住宅性能評価時に評価料として負担した評価住宅も、建設工事完了の日から起算して1年が経過し、中古住宅となってしまうと(売れ残ると)、指定住宅紛争処理機関を利用できなくなります。今のところ、新築の評価住宅と保険付保住宅が対象となるようです。
>>>>建設住宅性能評価書(新築)の交付された住宅の売買と紛争処理の利用について
参考までに、不動産の表示に関する公正競争規約では、
(特定用語の使用基準)
第18条 事業者は、次に掲げる用語を用いて表示するときは、それぞれ当該各号に定める意義に即して使用しなければならない。(2) 「新発売」: 新たに造成された宅地又は新築の住宅(造成工事又は建築工事完了前のものを含む。)について、一般消費者に対し、初めて購入の申込みの勧誘を行うこと(一団の宅地又は建物を数期に区分して販売する場合は、期ごとの勧誘)をいい、その申込みを受けるに際して一定の期間を設ける場合においては、その期間内における勧誘をいう。
(6) 「建物の建築工事の完了」: 建物をその用途に従い直ちに使用することができる状態に至ったことをいう。
施工規則第3条(7) 「中古住宅」
建築後1年以上経過し、又は居住の用に供されたことがある一戸建て住宅であって、売買するものをいう。
としています。
中古住宅が売買を前提としているのに対して、既存住宅は、加えて、リフォームや維持管理して住み続けるものも対象としているようです。
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6月、全国で着工したマンションの戸数は、売れ行きの不振で着工を抑制する傾向が一段と強まっていることから4592戸にとどまり、1か月の着工戸数としてはこれまでで最も少なくなりました。国土交通省によりますと、6月に全国で着工した住宅は6万8268戸にとどまり、前の年の同じ月より32.4%減少し、7か月連続の減少となりました。このうち分譲マンションは、前の年の同じ月より68.2%減少し、4592戸となり、調査を行っている昭和60年以降、1か月の着工戸数としては最も少なくなっています。このほか一戸建ては、注文住宅などの「持家」が前の年の同じ月を10.7%下回ったほか、分譲住宅も24.9%減少しました。国土交通省は「景気の悪化で雇用や所得の伸びが期待できないなか、多くの消費者は住宅の購入を手控えている。このため、マンション関連では、不動産会社が売れ残った物件の処理を優先しており、当面、新規の着工を抑制する傾向は続くだろう」と話しています。
(誇大広告等の禁止)第32条 宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の賃借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
公正競争規約に違反した場合の罰則規定等 公正取引協議会
(違反に対する措置) 施工規則
第27条 公正取引協議会は、第5条及び第8条から第23条までの規定に違反する行為があると認めるときは、当該違反行為を行った事業者に対し、当該違反行為を排除するために必要な措置を直ちに採るべきこと並びに第5条及び第8条から第23条までの規定に違反する行為を再び行ってはならないことを警告し、又は50万円以下の違約金を課すことができる。
2 事業者は、前項に規定する警告を受けたときは、当該警告の内容である措置を直ちに実施し、又は当該警告の内容に反する行為を行ってはならない。
3 公正取引協議会は、事業者が前項の規定に違反していると認めるときは、当該事業者に対し、500万円以下の違約金を課し、公正取引協議会の構成員である資格を停止し、除名処分をし、又は公正取引委員会に対し、必要な措置を講ずるよう求めることができる。
この表示規約は、不動産の規約を運用する不動産公正取引協議会の加盟(構成)団体に所属するインサイダー業者(会員業者)に適用されます。
<インサイダー業者の目印は、店頭に貼られた「公正表示ステッカー」です。>
「自主規制」だと法的な強制力がなさそうだから、業者は規約を守らなくてもいいのではないか?、と思うかもしれませんが、規約を守らない業者に対して、注意・警告・あるいは500万円までの違約金を課徴することができる罰則規定を設けています。
公正取引協議会は、規約を守らない業者に対しては公正取引委員会、国土交通省、関係都道府県などに通報する措置も行っています。
不動産業者が、不動産公正取引協議会に加盟していなければ、どうにもなりません。
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