新聞(日経夕刊2010/02/17)記事に「マンション評価制度」のことが載っていました。既存マンションの住環境を維持・改善するのが狙いで、京都で活動が始まっているとのことです。
省エネとCO2削減には、新築の住宅建設を減らし既存住宅のリフォーム・流通を促進させることが必要となります。
その観点からも意義深い動きと感じます。
国交省「長期優良住宅先導的モデル事業」採択
品確法における「住宅性能表示制度」では、既存マンションの建物としての性能を評価できますが、この「マンション評価制度」は管理状況を
組合運営について
●総会出席率
●管理費の滞納戸数
●役員任期や決定の手順
●管理会社へ委託する差異の手順
●理事会の開催回数
●理事会の引継ぎ文書作成
●構造計算書などの文書保存
住民同士の交流等について
●役員の後任育成
●広報誌の発行
●交流イベントの実施
●組合活動の情報開示
●住民同士のあいさつや交流 ・
災害への備え
●防災訓練の有無など
●消防訓練の実施など
●災害時の物資備蓄
●エレベーターなどの法廷点検 ・
●損害保険の加入
多世代が暮らせる工夫について
●空き住戸状況
●インターネット環境の整備など
●防犯カメラなど防犯・事故への備え
●掲示板の活用など
●共用部のバリアフリー対応
●駐輪場・駐車場の整備・清掃
地域との共存・共栄
●町の住民組織への加入
●地域行事への参加
●町内情報の掲示など
●近隣住民との協力体制
●近隣住民への交流の働きかけ
等の28項目で評価しています。
品確法では、その既存住宅に対する評価方法規準の「11-1:現況検査により認められる劣化等の状況」で「適切な維持管理に関する計画等」を定義しています。
・・・共同住宅等の良好な維持管理を行う上で必要となる適切な長期修繕計画及び管理規約、適切な金額の修繕積立金並びに他の法令に基づく昇降機その他の設備の点検の実施をいう。>>>>祝!住宅性能評価員の資格取得としています。
驚くのは、評価対象のマンションの現状に応じた適切な修繕積立金の求め方を規定して算定し、評価が行えるようにしていることです。住宅性能評価員さんは、組合会計についても詳しく知っていなければなりません。大変です。
品確法の今後の発展に期待しますが、住宅性能評価員とマンション管理士の役割分担及び協力について明解にする必要もありそうです。
長期修繕計画を作成する資格者として、今後住宅性能評価員を指名する可能性があるのでしょうか。・・・無理だと思います。
話は変わりますが、神奈川県では現在「マンション実態調査」を北部地域で実施しています。
首都圏マンション管理士会の一員として周辺マンション120棟程度の調査を担当していますが、管理組合の実体の無さに驚かされます。
区分所有法では、2以上の区分所有者がいる建物では管理組合が自然発生するとされていますが、自然には発生していません。
行政は、管理組合理事長宛に調査用紙を発送しますが、容易には届きません。管理組合の郵便受けがあるマンションでも、実体の無いマンションが数多く存在します。
管理を委託されている管理会社は、種々の理由で、外部情報(管理会社にとって有害な物は特に)を管理組合へ伝わらないよう管理員を指導しているところが多いようです。
理事長は輪番制が多く、何事も無く任期を全うするためにあえて外部情報からは耳を閉ざす様子が伺えます。
管理組合の管理者はしかるべき行政へ届け出る必要があります。管理者の個人情報を守るということは、企業の代表社長名を隠匿する会社と同じことに思います。
こうして行政は、マンションの実体を把握することが出来なくなります。
「マンション評価制度」のような制度を拡充させるためには、マンション管理組合が、その実態と主体性を持つことから始める必要があります。
行政は、区分所有法でその存在を定義されているものの、自覚も無く何も知らされない管理組合の実体を把握すべきだと感じます。
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