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ホテルレストランでの勤務経験

こんにちわたいらです。

 

先日のブログにも書いていますが

以前私はホテルレストランで現場勤務をしておりました

私の生業であるマニュアル作成がかなり困難な業態です。

どれだけ困難であるかをこれから書き連ねていきます。

 

業務内容としてはもちろんいろいろあるのですが、

私の場合はフロントで対応しきれないちょっと込み入った食事予約の内容調整とか

コース毎の喫食数をとりまとめて調理場に伝えることが大事な仕事でした。

もちろん現場が忙しいときには助っ人としてクルクル走り回っておりました。

 

それだけで仕事になるのかい?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが

これがなかなかのボリューム感とメンタル消耗戦なのです。

特定期間にブッフェを開催するのですがそれはまぁ多くの場合なんとかなります。

しかしメインはコース料理ですから。

百種類を超える食材を仕入れ、発注し、仕込むためにはできるだけ

正確に調理場へ伝える必要があったわけです。

 

3日前までとかで完全予約制にしとけば良いじゃない?って思うでしょ?

違うんですよ。ホテルだから宿泊は部屋さえ空いてれば当日まで予約可能なんですよ。

そこで食事はもう取れませんっていうのは単純な機会損失でありCS低下に直結するのです。

 

で、どんなにマニュアル化して「食事予約は事前にお願いします」と伝えたところで

小団体などの場合は当日やっと顔合わせたりするケースが多いわけで

チェックインの際に「7名で18:30~ ○○コースをお願いしたいんですが」

とか始まるわけです。

 

フロントはこれがどういうことなのかある程度理解はしているので若干血の気が引きます。

「し、し、少々お、お待ちください。確認して参ります。。。」

と言って私のところへ着てお客様の要望を伝えるわけです。私は目を閉じ空を仰ぎます。

できるかできないか確認してお客様へ伝えるだけでしょ?ってなるじゃないですか。

そんなに簡単な話じゃないんですよ。

すぐ回答ができないので一度お部屋でお待ちいただき、10分程度で内線でお知らせする旨伝えます。

 

当日予約だろうがなんだろうがお断りすることは機会損失でありCS低下に直結するんですから。

言ってみればLOSE-LOSEですよね。

だから私は死ぬ気でとりあえず席を調整してこじ開けます。サービススタッフの目星を付けます。

場合によってはフロント支配人と調整してヘルプを要請します。

で、前のお客様次第だけれども19:30頃ならなんとか席を確保できたとします。

 

そして私は処刑台に上る。

 

震える手でシェフルームをノックして空けます。コンコンっと2回叩けばいいのですが

震えているのでドラムロールの要領で18回くらい叩くことになります。

「料理長、当日チェックインのお客様7名様が○○コースをご希望されています。」

「フザけたおせ!今からそんな数仕込めるわけねぇだろ!断れアホンダラ!」

そりゃあそうですよ。調理スタッフはできるだけロスが出ないよう最小限の食材を仕入れ、

最小限の人工で朝6時前から仕込みを行っているわけですから。

 

とはいえ私も売上とCSをみすみすと逃すわけにはいきませんよ。

「毎度すみません、宿泊予約とリコンファームの時点で食事のリコメンドは行ったお客様です。

ご無理を言って大変恐縮なのですが可能な範囲でなんとかご対応いただけないでしょうか。」

ロジカルに感情を揺さぶるという高度なテクニックです。

ちょっと表現を誤るとその場で3枚に下ろされる可能性があります。

私も数回ですが腸を掃除されるところまでいきました。

 

すると料理長は舌打ちをしながら2番手のところへ行って

「おい、当日の7名口○○コースだってよ。できるか?」と聞きます。

ちなみに多くのレストランにおいて料理長の「できるか?」は「やれ」ですから

「はい、わかりました。」からの調理場内各部署へ「新規で○○コース19:30~7名口!夜露死苦!!」

これでなんとか大まかには調理場のコンセンサスが得られました。

 

物語はまだまだ続きます。料理長のいないところで副料理長から声がかかります。

「おい、たいら、いい加減にしろよ? やっちまうぞコラ」と。

ちなみにこれは61.7%が冗談の残りが本気です。

 

当日予約ですので食材はあるものでしか対応できません。

webやお部屋入れのメニューと同じものが用意できないこともしばしば起こるので

その情報を収集した上でお部屋にご連絡します。

 

「△△様、ご希望の○○コースですがお席がご用意でき次第内線でお呼び出し致します。

大変恐れ入りますが19:30頃を目安にお部屋でお待ちいただけますでしょうか。」

 

ここで「はいわかりました」ならまだマシなんですが

「19:30はちょっと、、」とか「一人生もの食べられないんですよね、、」とか始まると

いよいよ泥沼です♡まぁそうならないためのテクニックは多数ありますが。

今回は「はいわかりました」だったとしましょうよ。

 

そっからフロント側に予約が受けられた旨を報告して、

レストランの配席をひっくり返して要員配置をして

仮に懐石なら八寸等の盛り込みが4-3なのか2-2-3なのかとか詳細確認して

デシャップに料理の変更内容を伝えてお品書きをプリントアウトして

改めて正式に調理場へ新規予約を通します。

 

副料理長に「先ほどの7名口通します」とウィスパーした上で調理場全体に轟き渡る声で

「当日ご新規です!19:30~ ○○コース7名様お願いいたします!

△△のお料理の内容変更ご了承いただいてます!」

すると調理場スタッフが人殺しの目、もしくは死んだ魚の目で「うぇーい」って返事します。

ちなみにこっちは57.2%が本気です。

 

 

この仕事、マニュアル化できますか?

ちなみに私は開業時からそのホテルで働いていて、

隙あらば調理場やフロントスタッフとコミュニケーションを取るよう心掛けていて、

大きなミスなく一定の信頼関係が築けていて上記のような煩雑さです。

 

当時の私は、この仕事が自分でなければできない事態を避けるべく

一応はマニュアルを作成し、後身育成を行いました。

自慢ですが私がその事業所から異動になった後も数年間使われていました。

さすがに今はどうかわかんないですが・・・

ただし基本的な作業手順と心構えのみで突発的なトラブルや複雑な予約に対しては脆弱でした。

 

ホテルレストラン以外の様々な業態や業種のマニュアル作成を経て思うことは

やはりこれだけ多くの人が絡む業務のマニュアル化は一筋縄ではいきません。

実績や人間関係値が業務内容や成果に大きく影響するからです。

 

だからこそ会社、事業所方針を礎としたマニュアルが必要であり、

分掌、職域の定義付けやトラブルシューティングに使える考え方を盛り込んだ

骨太なマニュアル作成が求められるのではないかと考えておる次第でございます。

 

はーい。そうでーす。めっちゃ手間かかりまーす。

めっちゃ時間かかりまーす。

ご相談まってまーす。

 

でわでわ

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