神奈川県相模原市 2007年4月 文責: (有)A tempo
建物の給水方式は、一昔前から比べると様変わりしています。
今年に入ってからも、関係当局の方針が受水槽方式から直結方式へ急激にシフトしています。
理由は、
・受水槽方式が不衛生だという認識が厚生労働省を中心として浸透してきた
・配水管を含めた給水施設の能力に自信を持つ水道局が増えてきた
事によります。
増圧ポンプ方式を含む、直結給水方式に切り替える事により、
1.配水管からの水道水を直接給水するため、水質が安定します。
2.受水槽のスペースが不要となり、土地の有効利用が図れます。
3.受水槽方式に比べて衛生管理費や維持管理費の低減化が図れます。
4.配水管の圧力を有効利用できるため、省エネルギー効果が期待できます。
5.受水槽・高置水槽を撤去することにより、建物の景観がすっきりします。
受水槽が無いということは、水道本管の水圧が直接建物内の給水管に働くという事ですから、
耐圧・逆流防止等の
配慮が新たに必要になって来る事も忘れてはなりません。
弊社が建物維持管理している新横浜の事務所ビルに設置してある増圧ポンプは、流入水圧が0.7Mpあり、1日1回の調整運転のみです。
本管水圧の高い地域では、電気代はほとんど掛かっていません。
地方財政事情によっても異なりますが、
各地の水道局は、「特例直結給水」を新たに許可し始めました。
水道メータ口径20mm~75mmの建物では、特例直圧給水の要件を緩和し、直圧直結給水を採用しやすくなります。
川崎市の給水方式
特例直結直圧式給水
条件付きの直結直圧式給水により、4階や5階建ての建築物に給水する方式です。特徴は基本的に直結直圧式給水と同じですが、配水管の水圧が低下したときには直結増圧式給水に変更していただくことになります。そのため、あらかじめ増圧ポンプの設置スペースや設置費用を準備しておく必要がある点が、直結直圧式給水と異なります。
「10階建て程度までの直接給水が可能に」
4 増圧ポンプ設置の猶予について
10階建て程度までの給水は、増圧ポンプを設置することとなりますが、本市の場合、地形に起伏が大きく水圧がかなり高い地域もあるので、直結増圧ポンプ方式の特例として「6階建て以下の建物については、設置者の申請が有り、給水水圧が十分あるなど一定の要件を満たした場合、増圧ポンプの設置を猶予できる」こととしました。
ただし、増圧ポンプの設置を猶予する場合でも、配水系統の変更などにより水圧が低下した場合は、その時点で増圧ポンプを設置していただきます。
給水方式の概要図
現在市内には、約2万ヶ所の受水槽があります。そのうち直結増圧ポンプ方式の対象となるものは約1万6千ヶ所あり、構成比としましては約 80%の受水槽が対象となります。
特例直圧給水方式とは、増圧ポンプを設置できるスペースを用意すれば、水道直結方式を採用できるというものです。
水道局への許可申請(東京都の例:特例直圧給水条件承諾書)が必要となりますが、よほどの高層建物で無い限り、受水槽が不要となります。
現在受水層を設置している建物も、衛生的でおいしい水を飲むために、受水槽の撤去をご検討下さい。
1階に新たなスペースを生み出すことも考えられます。
関連記事:
増圧ポンプへの切り替え工事設計図
増圧ポンプへの切り替え工事
直結増圧ポンプが能力アップ
増圧ポンプの定期点検
事務所ビルにも直結増圧ポンプ
マンションの高置水槽を撤去しました
点検不能な受水槽の撤去
関連ニュース:【東京】
直圧直結給水適用範囲を拡大 都水道局k建通新聞社(07/01/12)
特例直圧給水方式として「建物階高4・5階まで」「水道メータ口径20~50㍉」を条件として増圧ポンプを設置せずに直圧給水をしていた建物に対しては「階高制限無し」「メータ口径20~75㍉」へと条件を緩和する。
【大阪】
大阪市水道局 直結給水の適用範囲を拡大。